Gospel To The Next 解説

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Taro's ライブ解説!!

2012/4/27, O-west
Gospel To The Next
ご来場ありがとうございました。

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O-Westでは踊りながら楽しい2時間が過ぎましたが、今回のコンセプトとライブの流れについて少しお話ししますね。
-Taro Kijima

メインステージでのレディー・ウォーカーの巧みなBlack Music Historyのオープニングアクトの後、DUCがステージへと登場し、Gospel To The Nextの幕開けとなります。
その後は、メインステージのDUCとサイドステージのレディー・ウォーカーが交互に歌う事でライブは進行して行きます。

Opening (DUC)


Rise To The Next (DUC/Taro Kijima)

みなが自分達こそ神に気に入られた者だと証明する事に夢中だ
でもそれだと僕らの音楽には合わないので僕らは次へと進んで行く

このライブの為の新曲で、コンセプトソングの1つ目です。英語の詞です。その他の歌詞は以下。

Rise To The Next 歌詞訳

Migi Bounce (DUC/Taro Kijima)

たった5分のポジティブな創造さ
君の言う現実とやらから少し切り離されてみよう
僕の知ってる方法はこんな感じ
右バウンス、左バウンス・・

人は悲しみや怒り等のネガティブな感情を洗い流す為にダンスを必要としており、それこそが絶望の中に希望をつなぐ黒人音楽の一つの本質でもあります。
皆さん最高のダンスをありがとうございました!

1st Package:


Down By The Riverside(黒人霊歌/ゴスペル):

私はこの重荷を川岸において向こう行く
そしてもう、戦争について学ばない

Love The Only Law (DUC/Taro Kijima)

愛こそが僕らのたった一つのルール
祝おう!愛が統治する世界
全ての剣は鋤(スキ)に打ち直される

上記の二曲は、参照となる聖書のセクションが同じです。
ご存知の通りDUCの楽曲はどれもゴスペルではありませんが、Love The〜には一行だけ、人類の未来の平和を予言する聖書のスクリプチャーが織り込まれています。

旧約聖書ミカ書 4:3
主は多くの民の争いを裁き、はるか遠くまでも強い国々を戒める。彼らは剣を打ち直して鋤とし槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。

2nd Package:


All God's Children Got Shoes(黒人霊歌)

 神の子はみな靴を得た
(2番以降、ローブ、王冠)
 天国に付いたら天国だ天国だと叫んでまわろう
 でも、天国について話す人みんな天国には行かないよ

Heaven! (DUC/Taro Kijima)

見慣れないビルの並ぶ輝く街に立って
憎しみあった人々が抱きしめ合っているのを見る
分かち合えない物など無く、
裁きを求める人もない
It's peace, just peace,
in the name of Nothing but Love

All God's~は、黒人達を奴隷として使いながら天国について話す奴隷主(当時の白人)達に対する痛烈な皮肉を含んだ黒人霊歌です。一方、同曲から歌詞をもらったDUCのHeaven!は、地上に造れる筈の平和と天国がテーマで、「イエスの名における(In
the name of Jesus)平和」という、二千年間全く世界平和に貢献していない宗教文句をちょっと皮肉らせてもらっています。

3rd Package:


Over My Head(黒人霊歌)

天高く、風の中に音楽が聴こえる
どこかに神ってものがいるのだ

Over My Head (DUC/Taro Kijima)

全てを終えてゆこうとする惨めな静寂の中で、突然私の為だけに鳴っている音楽に気づく
天高く、風の中に音楽が聴こえる
どこかに愛が、無限の、無条件の、否定し得ない愛があるのだ

第二のコンセプトソングです。絶望の方が当たり前に思える人生を強いられた奴隷達が歌った、短く美しく切ない歌詞です。DUCバージョンは、神の存在をそっと、僕らにとってもっとふさわしくそれを現す言葉である「愛」に置き換えて、今の僕らが向かい合う可能性のある景色に置き換えて、今日の僕らの為の歌にしています。

4th Package:


We Shall Overcome(黒人霊歌)

我々はのりこえてゆく 我々はのりこえてゆく
心の底で知っているのだ 我々はのりこえてゆく

We Shall Overcome(ジャズアレンジ)

歌詞同じ。ジャズアレンジは、Sounds Of Blacknessの、やはり黒人霊 歌のアレンジである「Every Time I Feel The Spirit」のスタイル。

黒人の友人達にとっては、奴隷達が歌った歌であるのと同じように、公民権運動の指導者キング牧師がその運動のテーマ曲とした事で重要なナンバーです。つまり、彼らにとって複数の時代に渡って心を支えて来たテーマ曲である訳です。繰り返し繰り返し音楽や歌詞を繰り返すという黒人音楽のスタイルには、自分の心を新しく作りかえる効果があります。歌い続けた歌詞が心の中で育ち、やがて真実になるのです。のりこえる歌を歌う力がある限り、私たちはのりこえてゆく事が出来ると言う事です。

Gospel To The Next-

僕らが黒人音楽だと考えているこの音楽には、力強さと、喜びと、切なさと、皮肉めいた知恵と、それらを支える音楽の構造があります。それらはこれからも僕らを魅了し続けるでしょうが、人が必要としているメッセージは、人により、場所により、時代によって違います。「キリストが救ってくれます」というゴスペルの一節はある平和を知るイスラム教徒にとって意味を持ちませんし、「女なんていくらでもいるぜ」というブルースの一節はある若き妻と死別した夫には役に立ちません。新たなテーマや言葉をこのビートにのせる覚悟がないなら、この音楽は世界の財産になる事は出来ないでしょう。

壮絶な歴史の中でゴスペルが培った「命の叫びの伝達方法」は、全ての宗教や民族と歌える新しい言葉をのせる事で初めて、世界の財産となるのです。


ライブはこの後、Dream Impossible(不可能を夢見ろ)のセクションへと突入します。
動画、My List、そして Sounds Of Blackness Medley、お待ち下さい!

Rise To The Next 訳

by Taro Kijima
長い事僕らは勝ちとる為に戦って来た
でも子ども達には分かち合うように教える
次に進む為に

自分のハートに従うのは罪ではない
従順な羊でいろと言う人々を恐れないよう、子ども達に教える
次に進む為に

みなが自分達こそ神に気に入られた者だと証明する事に夢中だ
でもそれだと僕らの音楽には合わないので僕らは次へと進んで行く

僕らは父達が知って欲しくなかった事を知り
母達が挑んで欲しくなかった事に挑み
指導者達が歌って欲しくない歌を歌い
世界が買えて欲しくない事を変えてしまうだろう
次に進む為に

クワイアーミュージックは進化する。
歴史のトンネルを抜け、
今日の僕らが生きる為の歌へ。